プラスチック検査

次世代のテラヘルツ技術

プラスチック材料に対する新たなビジョン

プラスチックとポリマーは包装、自動車部品、医療機器、一般消費財などあらゆる分野で使用されています。一方でその汎用性ゆえに課題も生じています。多様な材料、充填材また多層構造の組み合わせにより非破壊品質検査が困難になるからです。従来の光学的および赤外線による検査では多くのプラスチックがこれらの波長域で不透明であること、また散乱が大きいため、十分に有用な検査が行えなえないという課題があります。

テラヘルツ(THz)検査がその解決策となります。マイクロ波と赤外線領域(0.1~10 THz)の間で発振するTHz放射光は、ほとんどの非導電性材料を透過し接触やサンプル前処理なしでサブミリメートル規模の構造情報と厚さ情報を提供します。

THzシステムは光学センサーでは見えないものを「見る」ため、プラスチック材料や複合構造の信頼性の高いインラインおよびラボ分析に最適なツールとなっています。

原理:時間領域テラヘルツ分光法

Coating thickness measurement: 3 layers on CFRP (40-85 µm)
Coating thickness measurement: 3 layers on CFRP (40-85 µm)

パルスTHzシステムでは超短レーザーパルスが広帯域THz過渡現象を発生させ、これを試料に照射します。隣接するレイヤー間またはプラスチック構造と空気間など、各物質層の界面はTHzパルスの一部を反射します。この反射波を時間の関数として記録することでシステムは内部構造の深さ方向のプロファイルを再構成します。

原理はレーダーに似ていますがマイクロスケールの分解能をもちます。反射パルス間の時間遅延は層の厚さに直接対応し、反射信号の振幅と位相は屈折率と吸収特性を明らかにします。

広帯域なテラヘルツ信号が重要な理由

テラヘルツ検査における分解能と精度は基本的にテラヘルツパルスの帯域幅に左右されます。周波数範囲が広いほど時間領域におけるパルス幅は短くなり、各界面への応答はより鋭敏になります。

広帯域パルス(最大5THz、時間領域ではサブピコ秒の持続時間に相当⭢(4~6THz…))は、微細な深さ分解能を可能にし、材料の屈折率に応じてわずか5~10マイクロメートルしか離れていない界面を判別することができます。一方で狭帯域信号では隣接する層がぼやけてしまいます。

TOPTICAのTHz-TDSシステムTeraFlash proとTeraFlash smartは特にプラスチック検査に威力を発揮します。超短パルスで高ダイナミックレンジのテラヘルツパルスを生成することで層厚の正確な測定、層間剥離の特定、フィルムの均一性の検証に必要な精度を提供します。

高速・堅牢。産業環境向けECOPS法

実際の生産現場にける検査環境は静穏とは言い難いものです。振動、音響ノイズ、気流などにより長時間の測定サイクルは容易に歪みが生じてしまいます。こうした課題を克服するため最新のTHzシステムは、堅牢性と効率性を追求して開発された高速データ取得手法である電子制御光サンプリング(Electronically-Controlled Optical Sampling : ECOPS)を採用しています。ECOPS方式は、TOPTICA社のシステムTeraFlash smartの中核を成すコア技術です。

ECOPS方式では、THz信号がキロヘルツ(kHz)の速度でサンプリングされるため、以下のことが可能になります。

  • 移動中のサンプル(例:ベルトコンベア上)でもリアルタイム測定が可能
  • 高速サンプリングにより振動を「固定」するため機械的外乱に対する感度が低い
  • 24時間365日体制のインライン検査と品質保証に不可欠な高スループット

ECOPS方式は数ミリ秒以内に完全なテラヘルツパルス波形取得を可能にし、量産グレード速度での自動検査を可能にします。

テラヘルツがプラスチックで明らかにするもの。

反射THz信号の振幅と時間遅延の両方を解析することで、アプリケーションスペシャリストは重要なプラスチック・ポリマー材料のパラメータを抽出できます。

  • 層厚:反射間の飛行時間差による直接測定。
  • 屈折率:光路長と材料遅延から決定。
  • 材料組成:吸収特性はポリマー材料の識別に役立ちます。
  • 異常欠陥:剥離、空隙(気泡)、介在物は、付加的な反射または歪んだ反射として現れます。
  • 水分含有量:透過THz信号の広帯域減衰によって明らかになります。

このようにTHz検査は非破壊測定を実現し、研究開発ラボと産業プロセスモニタリングの両方に役立ちます。

従来法に対する利点

「従来の非破壊検査法には、超音波測定、光学および赤外線分析、X線/ベータ/ガンマ測定などがある」

属性 テラヘルツ法検査 従来法
透過性 不透明なプラスチックにも使用可能 透明フイルムに限定
測定分解能 < 5 µm (広帯域パルスにて) 典型的に10–50 µm (光学法/超音波法)
非破壊検査 ✓ 非接触測定 多くの場合検査用に加工が必要
多層膜への対応 ✓ 複数層の同時測定が可能 ✗ 順次測定または間接測定
測定速度 kHzレート (ECOPS法にて) 低速(機械的スキャン)
作業者の安全性 非電離放射線(人体に非侵襲) 要管理(X線測定、化学的手法)

結論:明瞭性と高い品質

テラヘルツ技術はプラスチック材料内部を非接触、高速、高精度に観察できる他に類を見ない”新しい窓”を提供します。サブミリメートル分解能を実現する広帯域スペクトル、kHzレートのECOPSデータ取得速度、そして産業環境に適したアーキテクチャを組み合わせることでテラヘルツシステムは比類のない非破壊プラスチック検査能力を実現します。

「テラヘルツ波は光が透過できない場所でも品質を可視化します」。

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