多光子顕微鏡のための超短パルスファイバーレーザー

多光子蛍光顕微法とレーザーテクノロジー

多光子蛍光顕微鏡はサブミクロンスケールでの生体組織の三次元非侵襲的研究を可能にする生物学的イメージングの重要な技術となっています。多光子顕微鏡法におけるコントラストのメカニズムは、2つ以上の光子による蛍光体の励起に基づいています。観察標本において励起された蛍光体は検出された可視光の光子を放出し、再び緩和状態に至ります。分子が可視域の単一光子で励起される従来の線形蛍光顕微鏡とは対照的に多光子顕微鏡における特徴的な非線形特性と励起波長は、いくつかの利点を観察者に提供します。(i) 赤外光子の吸収が減少することでより大きなプロービング深度が得られ、また観察標本への吸収損傷が少ないためインビボでのイメージングが可能になる。(ii) 蛍光励起は顕微鏡の焦点面に限定されているため、空間的なフィルタリングが不要である。等の利点が上げられます。

多光子蛍光顕微鏡に必要なレーザーの要件

多光子蛍光顕微鏡法は非線形現象を利用した顕微鏡法であり、画像の明るさと品質は励起レーザーのピークパワーに大きく依存します。ピークパワーはレーザーの出力、パルス幅(パルスの持続時間)、パルス繰り返し率、また最も重要なことは時間的なパルス品質によって決定されます。多光子蛍光顕微鏡内の光学系におけるパルス幅とレーザーパワーを最適化することも多光子顕微鏡では重要な要素です。一般的に条件の最適化にはパルス圧縮(群遅延分散(GDD補正))のための光学系やパワー制御やビームブランキングのための高速光変調器など精密かつ規模の大きい光学系が必要となります。

トプティカ社のFemtoFiber ultra 920は研究者のこのような要望に応えるために開発されました。FemtoFiber ultra 920は充分な出力パワーとフェムト秒パルス品質を確保するのと同時に、独自のクリーンパルス技術により二光子顕微鏡において究極のピークパワーと画像の明るさを実現します。ターンキーで直感的な操作性、レーザー本体に完全に統合された分散補償光学系、本体内蔵のパワーコントロール機構により、ユーザーフレンドリーなシステム構成を実現し、全てのユーザはレーザーを意識することなく研究に集中することができます。